リユースの効率化を考えてみるこんにちは。最近加齢臭が気になるCMOのHiroです。ごくごく一部の愛読者様から「続きはよ!」とのお言葉をいただき至極光栄なのですが、こないだ某大手出版社の出版担当者さんと呑んでいたときに「このブログって将来本になりますかねえ?」と聞いたら「ニッチすぎて無理」って一刀両断されてモチベが下がりきっておりました。さて、そろそろ「変動費と価格」の話を少しづつしていこうかな?と思っています。リユースの値付けは生命線。ビジネスの根幹です。リテール(新品)やサービス業ならば「多少アカ出しても将来の宣伝費と思って低価格化もしくはフリーミアムモデルにしてライバルを出し抜き垂直的にユーザーベースを獲得しよう」という最近流行りの「ばっくり集めてあとからがっつり儲けるパワープレイ」が有用だったりもするのですが、リユースはそうはいきません。あ。ソシャゲの話はしてませんよ。はっはっは。言うまでもありませんが、リユースは「買取のお金が先に出ていく」ビジネスなので乱売したり無用な高価買取をすると「キャッシュ」が枯渇して即倒産してしまいます。赤字を許容しているとすぐに運転資金がなくなってしまうわけですね。したがって、「集めて収奪する」モデルだと、死ぬほど体力(資金)があれば別ですが持ちこたえられないわけです。リユースはスタートから着実に黒字を出していく必要があります。(限界利益ベースでは)起業する際に先輩方から「最初の一年は赤字で持ちこたえられるように」とよく言われますが、それは新品やサービス業のお話で、リユースに関しては「最初から黒字が見込めないならやめとけ」なのです。もちろん、BtoCのリユースビジネスは手形を切るわけではないので、不渡り2回で終了ということにはなりませんが、手元の資金が減って来れば買取も出来ずどんどん先細っていってしまいます。一年持ちこたえようというのはどっちかというと人件費や光熱費、宣伝費などの固定費のほうでしてここはまあ、多少営業利益が赤字になっても持ちこたえられるくらいの資金は必要です。ただし、限界利益。売上ー変動費ー仕入れ代金これは最初から黒字でないといけません。当たり前でしょ?って思われるかもしれませんが、けっこう、イキオイでリユースに突撃してきたリテール畑の方は「仕入れ代金の安さ」だけに目が言ってしまい「変動費」を無視してしまうんですよね。リユースを長くやっている方はこの「変動費」をいかに標準化、効率化させるかがキモであることは重々承知していると思います。なぜならリユースは査定や出品、いわゆる「撮影・採寸・原稿(ささげ)」というリテールにはないコストがかかってくるからです。これ以外にも宅配買取の場合は送料やダンボール代などの資材費が大きなネックになります。新規参入組はこの見積もりが甘い。特に返送なんてあった日には「往復送料」痛いよお・・ですね(笑これを「効率化」ではなく「数の理論」。つまり人海戦術でどうにかしようって言うチンパンが多すぎ問題もあります。大量生産工場を目指そうとしてしまうんです。大量生産工場でいけないの?効率化できるやん?はい。それは「買取量という波が一定の場合」です。言い換えると工場の生産量に応じて材料の仕入れを完全にコントロールできる場合です。リテールや工場と違うのは「買取量はアンコントローラブル」、いえ語弊がありますね。ある程度のボリュームはビジネスに合わせて入ってきますが季節や曜日、他社のキャンペーン、などで一定幅の波動があります。一定幅の波動を吸収できる大量生産ラインは「どの物量にミートしてスループットを設定するか」でどこかに綻びが出てしまいます。平均値なのか最大値ー手空きの手当なのか最小値+残業や派遣で対応なのか平均値や最小値に合わせるとピーク対応ができず、査定待ちができます。最大値に合わせるとピーク時以外は手空きが出てしまい、変動費率が悪化します。どちらがいんだろう?って悩んでいるライン担当の方多そうです(笑先輩方から「ほんとそれ」って声が聞こえてくるようですが皆さんならどこにミートさせて人員計画を立てますか?ボクの経験値ですが平均値くらいにミートさせて「査定待ち日数」でバッファをとっているところが大半ではないかと思います。もちろん、販促とリンクしてある程度の需要予測を行って人員を配置しているところもあるでしょう。これは少なくとも査定ラインに手空きが出ない最善策ですね。しかし考えてみてください。査定ラインに空きを出さずに効率的にオペレーションをしている!ドヤ!と胸を張る前に誰かが割りを食っていませんか?お客様です。良い悪いの綺麗事を申すつもりは毛頭ありませんが、この戦略は業務効率化のために「お客様の待機時間」をオフバランスさせていると言い換えることができます。つまり「お客様を待たせることとトレードオフで効率化をしている」という事実は受け入れないといけません。アンケートを取ってみても、(高額品でない限り)お客様もある程度の待ち日数は許容して頂けます。特に片付け目的の買取利用だとお客様は査定時間に無頓着だったりしますね。ですが早いに越したことはありませんよね。ボクがよく利用する家電系の買取業者さんはほぼ確実に翌日に査定連絡があります。けっこうリユース的な需要期(引っ越し時期とか年末とか)でもその速度は変わりませんのでどんなオペレーションをしているのか謎なのですが。さて年間通じて査定待ち日数が一日以内でかつ現時点で最善の効率化が出来ているこれはすごいです。どうぞ胸を張ってください。ボク風情がしのごの言う余地は全くありません。通常は一日だけど増えてくると3日~1週間待ちになっちゃうね。これはあまり胸を張らないでください(笑お客様に「お待たせしてサーセン・・」って言いながら精進しましょう。いやいや、じゃあ逆に聞くけど年間通じて待ち日数を最短固定にしてなおかつ効率化なんてできるのか?とそろそろイライラされていると思います。できます。買取量の定義を考えてみる。買取量は買取GDP×買取価格指数×買取弾性値で決まります。買取GDPというのはボクの造語でGDPに意味はありません(笑単純に貴方のビジネスが持っている基礎的な買取量のボリュームです。追加コストを払わずとも入ってくる買取量の「最小値」と思ってもらって結構です。毎月入ってくるお給料のようなものです。これは過去のブランディングや再利用、継続利用によるものです。買取価格指数は買取価格のインデックス値(買い取り価格を指数化)です。ただ、単純に売価比率で全体平均するとボトムの低価格に引っ張られてしまうので、キロ買いするような商材を除いた日経平均のような主要商材の平均値で算出します。ようするに売上原価率の変形版ですね。これは人事評価のようなものです。買取弾性値、これは競合の状況、広告投下量、季節値、トレンド値など複合的な買取にインパクトの有る係数を取れる範囲で指数化します。これは日々の努力値+偶然要素のようなものです。言い換えると買取(ボーナス込みの年収)=買取GDP(お給料)x買取価格指数(人事評価値)x買取弾性値(努力値+偶然性)こんなイメージです。実は、買取GDPは買取価格指数と強い相関にあります。言うまでもなく宣伝費と相関が強いのは皆さんご存知なのですが、こちらはあまり意識していない方が多いと思います。買取価格指数を下げようとすると実は買取GDPが下がります。人事評価が下がると給料が下がっちゃう。もちろんここは会社の仕組みに寄りますがそんな雰囲気で捉えてもらえれば良いです(笑簡単に言うと安く買い叩く状態(人事評価が低い状態)が続くとお客さん(上司の心)が次第に離れてしまうということです。こわいこわい。僕は目先の収益性だけを追求してこの状態になった企業を緩慢な自殺モードに入っていると呼んでいます。買取価格指数を下げて短期的に収益性が上がったとしても、一旦下がった買取GDPを引き上げるには買取価格指数を戻すだけではだめで、相当な追加コスト(買取弾性値の引き上げ)が発生してしまいます。いったん下がった評価って固定観念化してしまってなかなか覆りませんよね・・買取GDPはあなたのビジネスが持つバジェットですから、これが下がるとビジネスが先細りしてしまうのです。つまり買取価格指数を下げるのではなく買取GDPを引き上げる。バジェットを増やす。このほうがはるかに経済効率はいいわけです。買取価格指数を引き下げるのは買取GDPが増えて「広告を打たなくても買取が来すぎて困っちゃう」ってなってから検討すればいいのです。買取価格指数はしばらく固定とした場合、買取弾性値のみが振幅に影響します。つまり季節性や宣伝費計画に基づいてあるていど人員計画が立てやすくなるわけです。このあたりの分析・・要因のスライス(分解)ができてないのにいろいろなことを一気に実行してしまうので何が効いたのか効いてないのか検証できなくなってしまい、「なんとなくうまくいった」「よくわからないけどだめだった」ということが起きやすくなります。また、買取GDPは理論上限はありませんが「物流センターのキャパ」という物理限界があります。買取GDPが物流センターのキャパ上限に近づいて来れば「宣伝は少しでいいか」となってきますので、より計画の精度が上がってくるわけです。そろそろまとめに入ります。変動費率を効率化し、査定待ちもミニマムにする一つのヒント。それは第1段階として「センターのボトルネックの生産量」にミートするのが適正です。あ・・・あれ?今までのGDPとかの説明は一体・・??少しお待ちを(笑第一段階はスループット(売上ー変動費)の向上。つまりボトルネックを解消しながら買取~出荷までの生産量を最大化する必要があります。売上の増大に関しては理論的な限界がありません。センター総経費や変動費はゼロ以下には絶対になりませんが、売上は理論限界がないからです。(あくまで理論値ね)センターの生産性はボトルネック工程の能力以上には絶対に向上しません。例えば査定の処理量が単位時間あたり120として、その後の撮影が100だったとします。この20は「仕掛品」として滞留するだけです。つまり部分最適で「センター総費用」が下がることは絶対にありません。査定工程 仕掛品 撮影工程 出品工程 120 20 100 100こうなっちゃうわけです。センターの作業工程プロセスの中で顧客の要求を満足させるために必要な能力は、作業工程プロセスの中で一番能力の低い工程(ボトルネック)によって決定されているにもかかわらず、それ以外の工程の生産効率を向上させることで、収益を上げようとしているからいつまでたっても収益が出ないのです。スループットを最大化するには生産量をボトルネックにミートさせ各工程の仕掛り在庫を減らすことことです。これは数学的に証明が可能だそうです。第二段階としてボトルネックを解消しながら全体の生産量を引き上げ、仕掛り在庫を減らし、変動費を削減し、センター総経費を減らします。この順番が大切です。つまりスループット=買取量とするのが「最も効率化した状態」といえるわけです。買取量にスループット合わせるのではなく、スループットに買取量を合わせる。一般的にはこの逆転の考え方が収益性を最大化する最重要ポイントとなります。ただしこの考え方は収益性は高まりますが、事業の成長性に少しブレーキをかけることになります。従って現在伸び盛りなのか、ある程度安定化してセンターの理論限界に近いかでバランスよく施策を打つ必要があります。続きはまたこんど!2017.02.27 09:05
自動査定システムは電気羊の夢を見るか?皆様あけましておめでとうございます。年末に某イベントで忙殺されたので、年明けてからは何も気力が出ず、どこにもいかず、ひたすらビールとつまみだけで3日ほどごろ寝生活をしていた社会不適格者のHiroです。新年一発目のネタは「自動査定システム」についてです。これは自分の中での数年来のホットトピックで、ボク自身もあの手この手でそれなりに実証実験もしてきました。中長期の課題として取り組もうとしている企業様も数社知っています。反面、頭ごなしに「そんなことできるわけがない系団塊おじさん」にはまったく理解してもらえないネタでもあります。そんな禁断の自動査定システムなんてほんとにできるのか?ということについて所感を述べていきたいと思います。でも考えてみてください。査定が自動で完結してしまったらリユース業は大変なことになります。そう。いわゆる「ノウハウ」とされているバイヤーの確保という参入障壁がなくなるわけですから、我も我もとカジュアルにリユースに新規参入できてしまいます。ただでさえ、昨今はCtoCが台頭しているレッドオーシャンの業界において、あっというまにさらなる地獄絵図になってしまいます。査定という参入障壁がなくなれば商売としてはリテール(新品)を扱うのとほとんど難易度が変わらなくなってしまうわけです。ですので、「仮にできたとしても情緒的になんかヤダ」と思っておられる先読みの鋭い経営者様もいるとかいないとか。さて。前フリの与太話はこれくらいにして、現実的な内容に触れていきましょう。アンドロイドか人間か表題はフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のリスペクトになっています。初見の方も、原作を読んだ方も、映画で見た方もいらっしゃるかもしれませんが、簡単に内容に触れたいと思います。以下引用第三次世界大戦後の未来、サンフランシスコを舞台に賞金稼ぎのリック・デッカードが、火星から逃亡してきた8体のアンドロイドを「処理」するというあらすじ。電気動物やムードオルガン、マーサー教などディック独自の世界観の上に描かれている。この世界では自然が壊滅的打撃を受けているために、生物は昆虫一匹と言えども法によって厳重に保護されている。一方で科学技術が発達し、本物そっくりの機械仕掛けの生物が存在している。そしてその技術により生み出された人造人間は感情も記憶も持ち、自分自身ですら自分が機械であることを認識できないほどのものすら存在している。主人公は、他者への共感の度合いを測定するテスト「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」によって人造人間を判別し、廃棄する賞金稼ぎである。この世界での生物は無条件の保護を受ける一方で、逃亡した人造人間は発見即廃棄という扱いとなっており、主人公のような賞金稼ぎの生活の糧となっている。Wikipediaよりここで言うフォークト=カンプフ感情移入度測定法というのが人間(かアンドロイドか見た目はわからない)に対して体に電極を付け、アンドロイドは感情移入がない、もしくは希薄であるという前提で様々な質問をして見分ける方法です。この作品のネタバレは避けますが、人間と人工知能の違いをテーマに描かれた名作ですのでお時間がある方はぜひ。さてさて。もし自分の中学生くらいの子供が最新のロレックスデイトナを持ってこれなんだ?ってパパ質問したとします。パパがアンドロイドなら「ロレックスデイトナ2016年モデルだね」と答えるでしょう。パパが人間の親なら「ちょっとまて。なんでそんな高級品をお前が持ってるんだ!?まさか・・・」と答えるのではないでしょうか?「AIによる自動査定システム」を端的に表してみました。AIは過去の学習データからそれが「ロレックスデイトナ」であることはわかるでしょう。ただ、「お!2016年モデルだ!これはクロアカギリギリでも買いたい!」とか「この人立て続けに新品の高級時計ばっかり送ってきてるけど、まさか・・」とか物体認識以前の「買う買わないの判断軸」までは計算することは出来ません。すごく誤解を招く言い方ですが今のAIというのは人間「はい!これロレックスのデザインデータです!覚えて!」AI「覚えました!」人間「じゃあこれなんだ?」AI「これは学習データにあった。ロレックス サブマリーナ Ref.116610LNです!」人間「よくできました!ではこれは?」AI「むむ?これはデータにないけどデイトナにかなり似ているな」AI「ロレックス デイトナ 型番不明 です!」人間「90点!じゃあこれは?」AI「わかりません」人間「残念!オメガでした!」ある程度型式のしっかりしたものは、ここまではAIによって実現します。もちろんロレックスだけじゃなく入手できる限りの時計のデザインデータを学習させればオメガでもカルティエでも答えることは出来ます。ですが人間「このデイトナ誰のだ!?」人間「買ったんですか?ん?お客様の買取品ですか?」ってすぐ答えが出ますがAIにはこの質問には答えられません。なんとなく掴めてきたでしょうか?現在のAIはあくまでも「教えたことしかわからない」「教えたものに<近い>ものはある程度推論できる」ことが精度良くできるのですが教えていないこと、ましてやメタ的な「判断軸」などはまったく対応することは出来ません。つまりいまのAIには「判断」はある程度できるが、「何を判断するか」は人間があくまでも教えて上げる必要があるのです。ディープラーニングはなんだかすごいらしい?そうそう。人工知能と言えば、最近知人から「最近ディープラーニングとかに代表される人工知能の発達がすごいよね。後何年で攻殻機動隊の素子さんはできるんだろうね」などと聞かれることがあるのですが、素子さんは残念ながらまだ当分難しいと思います。(個人的には早く実現してほしいですが)なぜなら、現在囲碁や将棋、自動運転などで爆発的に発展している人工知能は「特化型人工知能」と言って、なんらかの用途に特化されたものを言います。素子さんやドラえもんさんは「汎用型人工知能」と言って自己学習し、推論し、判断を下すことができるものです。簡単に言うと、人間と同じレベル。人工知能で「目」としてとらえたカメラ映像を石ころなのか宝石なのか木の枝なのかを判断する場合、膨大なデータを学習されれば認識率は高まりますが、精巧にプラスチックで作られた石ころを見分けることは現時点では不可能です。人間でも見るだけなら騙される人多数ですが、プラスチックなら持ってみればそれが何かはたいていわかりますね。人間は学習と環境情報から初見のどんな岩石でも「石っぽい」と認知することができます。ところが人工知能はそうは行きません。あくまでも学習用にインプットしたデータに依存しますのでどれだけ石ころの膨大なデータをインプットしようとも、ピラミッドやモアイ像が石でできていることはわからないのです。つまり「だいたい石っぽい」という「情報の一般化」ができるかどうかが人間に近づく一歩なわけです。現在の特化型はそこにいたっていません。人間の認識・理解には3ステップあって言葉 石概念 自然物で重くてザラザラしてて大小あっていろんな材質がある硬いやつビジュアル 過去に目で見た石という組み合わせになっていますが、今のAIには「概念」がありません。言葉とビジュアルをひたすら学習させて紐付けているに過ぎません。したがってソフトバンクさんのペッパーくんに猫の写真を見せたら過去の「ネコ画像」と「猫」という単語だけで「猫です」って答えるかもしれませんがペッパーくんには「猫とは何であるか」はわかっていません。素子さんを作るにはAIに「概念」を実装する必要があります。たとえますと・・特化型=指示をされ、単純な判断基準で特定の作業のみができるアルバイト汎用型=判断材料を探し、推論し、あるときは合意形成し、自分で判断できる経営者これくらいの違いがあるわけです。もちろん優秀なアルバイトさんもいるのであくまでも一般的な例えということでお願い致します。これは全く別物と言っても過言ではなく、特化型をどれだけ積み重ねても汎用型にはなりません。この話をつい詰めるととても長くなるので割愛しますが、人工知能と言っても2種類あるってことは覚えておいてください。やっと本題さて、なんだか自動査定に役に立ちそうな人工知能の簡単な説明をして、ようやく本題です。査定には大きく3つの要素があります。買う買わないの判断値決め真贋言い換えますと事前評価事後評価批判的検証評価・・と、言い換えることができます。脱線しますが「事前査定」というキーワード、私はすごく違和感あります。査定とは現物を受け取った後に正しく評価することですので、事前に行うものは「見積もり」にすぎません。それはいいとしていわゆる「バイヤー力」といわれる「能力」は大きく上記3つを指すことが多いと思っています。(あくまでも一般的な認識を大きく分けた場合。他にもあるぞ!って前の記事で言ってたやないか!ツッコミはご容赦ください)その中でも事前評価「買う買わないの判断」については最も感覚的であり、概念的であり、損益にダイレクトに影響し、経験値、総合力が求められる重要なスキルです。経験豊富なバイヤーさんはこの段階でぱっぱっと瞬時に仕分けをし、事後の値決めを効率化する能力に長けています。このスピードがバイヤー力の基礎値を決めると言っても過言ではありません。一方、この判断はとてもあいまいでなかなかロジックに落とすことは難しいように感じます。ここで「あ!」と気づいた方は有能です!そうです。先ほど説明した特化型・汎用型の話しに戻ります。特化型は学習データを与えてやるべきことに特化した人工知能です。例えば時計の盤面を学習させ、それがどのブランドのどの種類なのかをアウトプットすることは比較的容易です。アパレルに関してもブランドを絞ればある程度それが何かは検出してくれるでしょう。「それが何か」が特定できれば、あとはネットやDBにクエリーを投げるだけです。過去の価格や、そうすれば相場情報などと照合が可能です。現在の特化型で技術的な課題は(経営的な要求精度に達するほどの「実用レベル」かはさておき)、なんとかクリアできそうです。ところが「買う買わない」の判断はまさに「商材の一般化」「査定の概念化」が必要です。某激安ブランドの服をどれだけ学習して、「うにゃ九郎(すみません。察してくださいw日和ましたw)」は買い取らないって決めたとしても「しまみゅらー(察してw)」を買う買わないの判断は特化型人工知能にはできません。値決めや真贋ある程度の形状、色、柄などのある程度分類された判断軸が使用できる。言葉とビジュアルによって学習できる。買う買わない過去の膨大な経験から導いた概念。「一般化」が必要なのでAIや初心者には難しい。買う買わない判断、つまり事前評価に関しては「判断材料がある」他の2項目と違い「そもそも何を判断すべきか」という「判断軸を自立評価」する必要があり、汎用型に近い「概念」が必要です。つまり自動査定は夢のあるシステムですがディープラーニングがどれだけ発達しようとも、もう3ステップくらい超えなくてはいけない壁があります。やっぱり無理なんだねそうとも言えません。以下のそのヒントがあります。Googleの自己学習する人工知能DQNを開発した「ディープマインド」の実態、何が目的なのか?http://gigazine.net/news/20150831-google-deepmind/DeepMindhttps://deepmind.com/このDQNくんなんと、いっさいゲームのルールを与えなくても自己学習してゲームをクリアしちゃうそうです。Google、脳のシミュレーションで成果……猫を認識http://www.rbbtoday.com/article/2012/06/27/90985.html>今回の研究成果では、コンピューターは猫がどういうものであるか人間に教えられること無く、自力で理解した。「概念」もついにクリアしたみたいです。ただし。この計算には16000個のCPUでうなったらしいです。ただ、人間の神経回路は100兆あります(笑まだ遠いか・・? いやできるかも??完全自動化は無理でも・・事後評価なら自動化できるってこと??はい!要求精度によりますが技術的にはできそうですね!!最後にそもそも自動化できるか以前にみなさんが日々行っている「査定」という概念をきちんと説明できますでしょうか?(哲学的)そのあたりに完全自動化のヒントが隠されていそうですね!ではまた!参考 [言葉と概念] Pepper君は言葉を理解しているか?http://ai-revolution.net/gainen/2017.01.14 10:00
「第三回 新品商売から中古商売をはじめた経営者」が陥りやすい罠こんにちは。先日某大手ネット通販企業の社長様にご挨拶に伺った際に、挨拶一番「意見の違う部分もあるがスタッフ全員に読めと指示した。」とおっしゃられて変な汗が止まらなかったCMOのHiroです。ひぃ・・なんかすみません・・(震え声)このシリーズは僕の経験とある程度の成功体験を元に構成されています。自分がグラムス入社前に、グロースハッカー兼コンサルタントとして様々な企業のお手伝いをさせていただいた際に心がけていたことは「ビジネスに必勝法なんてない」ということです。一定の手順を踏めば誰でもエンディングを見れるRPGゲームのようなノウハウなんてありません。現実はファミコン時代に一石を投じた「たけしの挑戦状」のようにまったくもってクソゲーであり、理不尽極まりないものです。必勝法なんてないわけですから「自分の経験知識」などというものは「ないよりはちょっとマシ。」「成功体験はたまに悪さもする。」程度の認識で取り組んでいました。必要なのはアンテナ感度(情報)、スモールスタート(実行)、データアナリティクス(仮説検証)のサイクルを武器に臨機応変にゴールを目指すこと。臨機応変とは辞書によると状況に応じた行動をとること。場合によって、その対応を変えることとなっています。変化を受け入れ、常に変化すること。成功体験は時にこの行動を阻害します。ボクはこのブログで自分の経験を語りますが、「必勝法」だと思っていません。1フレーズでも「お。いいなこれ」って思ってもらったら幸いだと思っています。よし。うまく言い訳できました。では本題に入りましょう(笑)価格設定について中古をはじめた人が最初に躓くのが価格設定です。価格設定は個人商店でも大企業でも考え方は同じなのですが、けっこうここは「オレのノウハウ」的なものが尊重されてまして大手コンサルファームやら大先生がもっとももったいぶる内容です。もちろん、商材によっても大きく違いますし、現在のクライアント様の手前もありますので全公開というわけにはいかないのですが、特に誰かに遠慮する必要もない「美少女フィギュア商材」の値付けについて今日は書いてみたいと思います。2016.12.26 09:00
「第二回 新品商売から中古商売をはじめた経営者」が陥りやすい罠こんにちは。グラムスCMOHiroです。前回の記事は一部の界隈でHOTな反響を呼んでしまったみたいで少しビビっていますが、元同業の知人からも励まされたので「なるべく強い表現を使わずにマイルドな表現を心がけよう」という中学校の担任から言われた言葉を思い出しながらなんとか続けていきたいと思います。歴戦の先輩方からすると「理屈はわかったけど具体的にはどうゆうことなんだ」というお叱りを受けそうですが、今回もマインド的な内容を引き続きご説明しつつ、後半に少し具体的な内容に触れていきたいと思います。なぜ品揃え(セレクション)が大切なのか前回の記事で「中古の売上は品揃えと強い因果関係にある」とご説明しました。ただし、これは中古ビジネスに携わっていらっしゃる方は誰でも理解していることだと思います。「在庫が多いほうが売上も上がる」という肌感覚は誰でもお持ちです。ただ、日々業務に追われてわーっと仕入れてわーっと売っているとなかなか気づかないことがあります。私は、新品の流通業界から中古業界に入った時に最初に言われたことがありました。「新品の常識は中古の非常識です」最初はその意味がよくわかっていませんでした。いやむしろ「商売なんて皆同じ。商売の基本をきっちりやれば売上は上がるはず」と思っていました。その時は年間計画に基づいた月次の売上計画書にもとづいて事業部を運営していたのですが、あるとき、月の中頃で「このままだと月次の数字が未達成になりそうだ」と思った時がありました。部下に相談したところ「商品選定は僕達がやりますから少し値下げをして販売加速しましょうか」と提案を受け「おうよろしく頼むよ!」とGOサインを出しました。彼らの成果は目をみはるものでした。翌日から売上は挽回し月末には計画数値の103%という結果となり、僕は部下たちを労いつつも意気揚々と月次会議で成果を発表しました。翌月。またしても売上が低迷してきました。僕は「ちょっとアクセル踏んでくれ」と部下たちに指示を出し、価格化するカテゴリーなどを選定した上で「粗利を傷めないように」メリハリを付けた値下げをしたつもりでした。翌月も売上は達成しました。さらに翌月。いままでで最高に低迷したのです。計画に対してマイナス20%を下回るペースでした。僕は当時どうしたらいいかわからず社長に相談しました。社長は一言「言っただろ。新品の常識は中古の非常識なんだ」と静かに僕にいいました。「もう売らんでええ。値下げは中止しろ」そういったのです。ここでしっかり書いておきたいのですがこの社長。非常に数字にシビアな方で、計画数値の未達を起こそうものならその後関係者を集めて何時間でも対策会議コースという方です。その方が「売上は未達成でいい」と言ったのです。僕は何を言っているかわかりませんでした。僕「売上はいいってどうゆうことですか?」社長「粗利が落ちるからだ」僕「粗利が落ちる?率のことを言っているのですか?それなら額でカバーするだけの回転率は出しています」社長「その考えがダメなんだ。」僕「???」社長「いま在庫はいくつある?カテゴリー別の総在庫数と商品種数を報告しろ」僕「わかりました」僕はこの時点でも何を言っているのかわかりませんでした。データの集計を部下に指示し、すぐにその結果はみてボクは愕然としました。「在庫が前月比で10%も減っている。しかも高価買取帯の商材が30%も減っている・・」すぐに社長に報告をしました。社長は数字を一瞥しただけで「すべてわかっていた」と言わんばかりにボクに言いました。「いいか。中古の売上は買取についてくるんだ。これが何を意味するかわかるか?」「つまり買取を強化しろということですか?」「そうではない。【買取に合わせろ】と言っているんだ」「買取に【合わせる??】」「そうだ。お前は前月売上を達成したと言っていたがそれはなぜかわかるか?」「値下げをして回転を高めたからです」「ちがう。お前は未来の売上を借金しただけだ」「???」「お前が前月に売ったものは本来今月売るべきものだったんだ。買取が増えない以上中古の世界ではそれを利益の先食いという」「お前の考え方は新品なら正しい。だから言っただろう?中古の常識は新品に非常識だと」その時やっと自分がした過ちに気づいたのです。売上を上げたかったら買取をまず増やす。順番が逆だったのです。なるべくならCPAが悪化する一時的な無理な広告などで増やすのではなく恒久的策を講じ続けていく。その「買取量」に従って売上は作っていく。お財布に例えるとわかりやすいと思います。出費の額が増やしたかったら貯金があれば貯金を切り崩すか、収入を増やすしかありません。それをしないのに浪費してしまえば手元のお金はどんどんなくなります。ボクがあの時したことは「貯金を切り崩しながらさらに身の丈を超えた浪費をするためにカードで買い物をしてしまった」これなのです。そして、この時もう一つ学んだことがありました。それは「値下げ」をして動く商品は元々注目度が高く、価格に敏感で競合も多い「価格」が唯一の差別化要因となる低粗利の人気商品だと言うこと。いわゆるロングテールの商材は競合度も低く、市場の在庫も少ないためユーザーもあまり価格を気にしておらず「ただの下げ損」となること。結果的に無策なこの値下げが引き起こしたのは・元々高回転低粗利の商品を価格化して「価格帯別(粗利別)売上シェア」をやみくもに高めてしまい、全体の粗利率が低下した。・比較的ロングテールの商品まで値下げしてしまい、粗利率をさらに低下させた。・買取量<販売量がという状態を2ヶ月維持したことにより、総在庫数、品揃え数が下がった。・たしかに最初の二ヶ月は粗利の低下分を回転率でカバーしていたため大きな変動はなかったが3ヶ月めにリカバリーできないほどの粗利の低下が起こった。(先食いしただけだった)中古のネット販売において(新品でも同じですが)品揃えが最も重要というのはビッグデータ解析において証明されているのですが残念ながらその証拠になるデータは守秘義務の関係でここでは出すことは出来ませんが、ざっくりと以下の意味合いがあります。1.ユーザーが増え、ユーザーとの接触確率が増える2.中古では実現しにくいクロスセル、アップセルが実現し客単価が増える3.顧客経験価値(ユーザーエクスペリエンス)が高まり来店頻度が増える4.売ったものが再度買取に持ち込まれる可能性が増す(エコシステム化)※こちらは検索精度も関わってきますので闇雲に品揃え「だけ」増えてもいけないのですが。とくに「3」か顧客生涯価値を高めるために大変重要です。品揃えの維持=ユーザーエクスペリエンスの維持と心得ましょう。そして、品揃えが落ち、売り上げも落ちると今度は買取にも影響が出てきます。中古ビジネスは買取→販売と考えがちですが本来は買取→販売→買取のループを作っていくことです。これを買取エコシステム(生態系)と言います。総買い取り件数の中の「一度自社で売ったものが戻ってきた率」をKPIにしている企業はあまりいないと思いますが、このKPIの推移を追うことで自社がどんな買取プロモーションをしているのか、顧客生涯価値を高めているのかを測る非常に重要な指標となりますのでぜひ導入を検討してみてください。閑話休題昔何かで読んだのですが「値下げという行為はバカでもできる。だから値下げをするとバカがどんどん真似をして参入しお互い頓死する」と言うものがあります。あの時のボクはまさにバカそのものでした。これが、「値下げ=売上達成のため」ではなく「値下げ=スループットの調整弁」に考えが変わった出来事でした。スループットという考え方の大切さスループットという言葉はおそらくボクがこの業界で独自に使っている単語なので馴染みがないと思います。簡単に言うと売上から買取価格(原価)と買取~販売に関わる変動費を引いた限界利益のことです。ここで言う変動費の内訳はおおよそ以下の様なものです。買取に関わる送料やダンボール、梱包材などの資材費査定~出荷のスタッフ人件費(社員人件費は固定費)販売手数料(カード手数料や出品手数料など)出荷送料これらの費用をまとめて「材料費」と言っています。なぜ「材料費」なのかはちょっと言葉の定義が難しいかもしれませんが、「売上(買取)とともに増えるお金」はすべて材料費とします。中古のビジネスの営業部門はこのスループット(売上ー材料費)を高め、管理部門では固定費を減らすことが大切です。こうすることによって以下のような部分最適、例えば・ラインの生産性を高める・スタッフの手空きが出ないように作業をどんどん割り振るのような行為が「無駄な在庫をいたずらに増やす」だけであり、スループットは変わらないということはおわかりでしょうか?売上 1000万円仕入原価 500万円材料費 300万円だったとします。この場合のスループット(限界利益)は1000-500ー300=200万円です。生産性が仮に20%高まったとしても、高まった分、スタッフをクビにしない限り上で言う材料費は変わりませんね?査定の生産性が上がって売上が上がりますか?上がりませんね?したがってスループットは変わりません。変わらないどころか無駄な在庫が増えることによりボトルネックが発生します。単位時間あたりの処理数の例査定 100ささげ 100入庫 100出庫 100※ささげ・・撮影採寸原稿のいわゆる販売前に必要な作業の頭文字をとった言葉仮にこのようなバランスの取れたラインがあったとします。査定のラインが20%生産性が上がったとします。査定 120ささげ 100入庫 100出庫 100ところがささげのラインは100のままですから何が起こるかというと査定 120 >仕掛り滞留在庫20ささげ 100入庫 100出庫 100こうなるわけです。結果的にスループットは何一つ変わらないどころか、在庫の管理費用が増えますので結果的にはスループットは下がります。仕入れコストの高い中古において、スループットを高めるには並大抵ではありません。買取は一定、売上は買取の準ずるため同じく一定。仮に買取が増えても材料費つまり変動費率は一定と思いがちですが、中古において一時的な買取急増によるラインの乱れは増員で対応しにくい「査定」がボトルネックになりそのまま全体の遅延になることが多くあります。なぜなら先程の例のように全体の処理量はボトルネックの処理量が上限だからです。このように、中古のビジネスにおいてはスループットを高めるために全体最適でバランスさせるというのがまずは最優先事項となります。今ある在庫で今ある人員でいまできる売上利益この最大化をきちんとオペレーションすることがまず第一。次に、やることは各工程のボトルネックの解消査定~出庫までのリードタイムの短縮適切な廃棄や処分による在庫鮮度のコントロールこの処理数に応じた買取計画と販売計画この順番なのです。長くなりましたので今回はこの辺で!2016.11.29 09:00
「新品商売から中古商売をはじめた経営者」が陥りやすい罠こんにちは。グラムス株式会社CMOのHiroです。私は「グラムスっぽくない記事を書いて欲しい」と言われているので、これまでの経験を活かして「リユースビジネスってぶっちゃけどうなの?」的な記事を連載していきたいと思っています。中古業界あるある皆さんが中古ビジネスを始めようとした時に、業界の諸先輩方に聞きに行ったり、ネットの様々な情報を調べたりしたと思います。その時なんて言われましたか?中古はバイヤー力(りょく)だ!相場観だ!うちのバイヤーは優秀でこないだなんて(以下略こんな話を延々と聞かされませんでしたか?つまり「値決め」「真贋」これが中古ビジネスの難しい部分でありノウハウであり、キモなのは、先行者様のドヤ語りのおかげで皆さんもよく誤解されているかと存じます。バイヤーの育成が追いつかないのでなかなか店舗展開できなくてなあ・・みたいな話もよく聞きますね。バイヤー教育が急務!って言いながら、バイヤーが育つのには3年かかる!みたいな矛盾したお話をよく聞きませんか?せっかく育ったと思ったら「独立」しやがった!という嘆きもよく聞きますねたしかに、それだけ有能なバイヤーさんなら「使われているより自分でやったほうが儲かる」ことくらいすぐ気づきますからね。ですが、残念ながら現在ではいわゆる相場と言われる「いくらで売れるか」という情報はネットを調べればほとんどわかります。もちろんJANコードのないアパレルやバッグ小物などは調べるにはコツが入りますが、それでもテキストによるあいまい検索を使った巡回ツールや検索ツールを作ってしまえばほとんど自動的に、それこそ今日入社したバイトの女の子でも相場情報は短時間で調べることが出来ます。売れる値段がわかれば変動費や固定費を計算して買取価格も自動的に決まります。もちろん買取価格も競合がたくさんいますので市場相場がありますから会社の都合だけでは決まりません。現在ではブランドバッグや高級時計の真贋判定情報なども詳細なマニュアルなどがか容易に入手可能です。金の真贋についても専用の比重計や試金石などで体積の大きいインゴット以外はほぼ判定できます。(インゴットは比重がほとんど変わらないタングステンが入っていることがあるので場合によってX線をかけたり切断することもあります)そういった意味ではいわゆる「バイヤー3年、真贋8年」みたいなものはだんだん化石化してきています。そもそも有能なバイヤーって?これは私が前職の時に実際にとある中古業の方に言われたことですが「有能なバイヤーは演技もうまい。いかに安く買うかがノウハウだ」自慢げにお話されてびっくりしました。この幹部の思考はネットがなかった十数年前の時代で止まっているようでした。今はネットが発達しています。メディアによる偏向報道や厚化粧のブランディングや、ましてや演技によりその場しのぎのダマシが通用しない透明性の時代です。店舗しかなかった時代で、「どこよりも高く買います」という「根拠不明の宣伝文句」が通用し、ネットスラングで言うところの情弱(情報弱者)から相場より安く買い叩いて「してやったり」が通用した時代はとっくに終わっています。今それをしてしまうとすぐにネットで他店の買取価格がわかりますからしてやったりと思っていた顧客は事実を知った後に「あの店は詐欺的だ」とレッテルを貼り、家族や知人、一族郎党、いえ、それだけではありません。そのヘイトスピーチはTwitterやFacebookにまで波及し「大ネガティブキャンペーン」となって瞬時に拡散され、見込み顧客までもが大量消滅し、ネットに不名誉な社名が永久に残り続けます。私が考える「有能なバイヤー」はこのような悪役主演男優賞候補ではなく、「買取販売ともに相場に基づいた適正な値付けをし、たゆまなく作業を省力化し、手元の在庫で最大の利益を最小効率で出せる」バイヤーです。あれ?これってバイヤーじゃなくても求められますね?そうです。企業のバイヤーはマネージメントができる有能なリーダーであるべきです。バイヤー力に固執するあまりに、その「暗黙知や経験値」を個人のスキルや名人芸に依存し、作業標準化して「企業の仕組み」にしてこなかった。これが混迷する中古業界の一因です。たしかに、一部の有能なバイヤーは名人芸に優れますが、いつか独立や転職で流出した時に経営者が自慢気に話していた「ノウハウ」もごっそり失います。不幸なことに自ら「名人芸」と定義してしまっているので習得に時間がかかります。したがって後輩も育ちません。人材ベースのビジネスはこうしてどんどん枯れていきます。少し表現が辛口になってしまいましたが、私の真意は古い体質をディスることではありません。そろそろ目を覚ましてください!ということなのです。皆さんが今まで聞いてきた「中古のノウハウはバイヤーと値付け」というのは必要条件ではあっても十分条件ではありません。昨今では説明したようにその必要条件すら怪しくなってきています。ですが誰もそんなことは教えてくれませんでした。なぜなら私が知る限り中古ビジネスの「コア」を知る人物はかなり少数だからです。彼らは黙して語らず。これまであまり表に出ることはありませんでした。それをこれからお話します。中古ビジネスの本当のコアとは??実は「新品商売から中古商売に手を出した経営者」が陥りやすい罠があります。それは売り先行、売上至上で商売をしてしまうことです。中古の商売は仕入れがコントロールできません。買い取りしたものしか売れません。ロレックスがもう3本欲しいなーと思っても買取査定が成約しない限り売ることは出来ません。なぜ売り先行にしたらいけないのか。「例えば本来1000円で売れる商品を800円で売ろう」「利益率のダウン分は回転率でカバーだ。」この考え方は在庫の補充が効く新品商売でしか成り立ちません。中古は手元在庫が有限です。同じ中古でも本やCDのように同じタイトルがいくつもダブっているカテゴリーの場合は別ですが、基本的に一点ものの集合体が中古商売です。つまり利益率がダウンした分を回転率で補うということは基本的に不可能です。なぜなら補充が効かない中古ビジネスでは「買った量よりも売れる足が早ければ在庫が枯れてくる」からです。中古は買い取らないと続かないのです。販売加速した後は販売失速が待っています。中古ビジネスのコアは「買った量に応じた販売量を緻密にコントロールし、期待利益を最大化する」ことにあります。もう少し詳細にご説明すると買取量と総在庫(総タイトル数)を極力一定に保つように販売数(スループット)を価格等で調整する。という話になります。実際にはもう少し複雑なのですが・・(笑2016.11.22 09:00